逆流性食道炎による胸焼けは、「横隔膜を締める」「胸腔内圧を高める」で防げます


逆流性食道炎女性のイラスト

逆流性食道炎による胸焼けは、食道まで胃酸が上がってしまうことで、起こります。

 

そして・・・身体をうまく使えるようになり、「横隔膜を締める」ことができたり、
もしくは「胸腔内圧を高める」ことができたりすれば・・

物理的に、胃酸が食道まで上がるのを防げるようになり・・・

逆流性食道炎をある程度、防げるようになる可能性があります。

 

食道は、胃酸が入ってはいけない場所です。

胃酸は、ものを溶かす能力がありますが、
胃自体は、いろいろな防御メカニズムで自分を守っているので、溶けません。

しかし、食道にはそういう防御メカニズムはありませんので、
胃酸が逆流し、入ってしまうと、ダメージを受けたり、痛みの原因になったりしてしまいます。

 

そして普通は、胃酸は逆流しないように、
胃の入口・・・「噴門」という場所で、防がれるようになっています。

 

正常な胃と胃酸のイラスト

ふわぷかさんによるイラストACからのイラスト

 

こんな感じですね。

胃は動きますので、胃酸はある程度、食道に向かって上がろうとはするのですが・・・
普通は、実際に上がってはしまわないように、防がれているのです。

 

しかし・・・
いろいろな原因で、胃酸が上がってくるのが、ちゃんと防がれなくなる場合があります。

 

そうすると・・・

 

逆流性食道炎の胃のイラスト

ふわぷかさんによるイラストACからのイラスト

 

「呑酸」とも言われるように、
こんな感じで、胃酸が食道まで、逆流してしまうのです。

 

つまり、胃酸が食道まで上がってしまうのは・・・

「胃酸が上がるのを防ぐ力が、弱いから」と、言えるんですね。

 

そして・・・胃酸を防ぐ力が、弱いのであれば、
鍛えたり、練習したりして、
もっと強く胃酸を防げるようになればいいわけです。

それができれば当然、胃酸の逆流は今より、
しっかり防げるようになりますよね。

 

それでは、胃酸を防ぐためには・・具体的には、どうすればいいのでしょうか?

以下、解説していきます。

横隔膜を締める

胃酸を防ぐ。

そのために鍛えて、ちゃんと使えるようになるべき、重要な場所は・・

 

「横隔膜」、です。

 

 

横隔膜というと、胸のいちばん下、おなかのいちばん上くらいの高さにあって、
胸とおなかを水平にへだてるような、膜みたいな筋肉ですね。

 

横隔膜の場所

Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用

 

画像だと、こんな感じです。
(茶色く表示されているのがすべて、横隔膜です)

 

焼肉だと、ハラミにあたります。

 

そして横隔膜は、深い呼吸のために重要だったりとか、
固まったら猫背になるとか、そういう場所です。

 

それはわかったけど、そんな場所が、
胃酸を防ぐために、なんの関係があるの?

と、もしかしたら思われるかもしれませんが・・・

 

もう、バリバリに、関係があります。

 

横隔膜はちょうど、さきほど説明した、「胃酸を防ぐ部分」において・・・

食道に圧をかけて、胃酸を防ぐためにも働いているんですね。

 

横隔膜を貫く食道

書籍「ネッター解剖学」より引用

 

赤丸で囲ったのが、さきほどお示しした・・・
「胃の入口」部分にあたる、食道です。

そしてそのまわりが、膜状の筋肉でがっつりと、覆われているのが見えると思います。

これが横隔膜です。

 

食道は「食道裂孔」という、横隔膜に開いている穴を貫通しています。

そして横隔膜は、その貫通部分で、
食道を「締める」ことができるようになっています。

 

なので、横隔膜をしっかり鍛えたり、ちゃんと使えるようになったりすれば・・・

ホースを握れば、水の流れを止められるように・・・

横隔膜を使って、食道をちゃんと締めあげることで、胃酸の逆流を防げるわけですね。

 

 

胃酸があがってくるときには、「予兆」のようなものがあることが、多いと思います。

私も以前は、軽度ですが逆流性食道炎を起こすことがありましたので、
ある程度は、感覚がわかるのですが・・・

前触れもなくいきなり、胃酸があがってくることは少なく、

あー・・(胃酸が)あがってくるなー・・・・来たー!

といった感じで、あがってくるタイミングがある程度、分かることが多いと思います。

 

なので、胃酸があがってくるな・・!と感じたタイミングで、
横隔膜を使ってぐっと、食道を締めてあげればいいわけです。

これができれば、あがってくる胃酸を防ぐことができますので、
逆流性食道炎を予防できますよね。

 

実際のところ、横隔膜がちゃんと働いていて、「適度な張力」があることは、
すごく大事で・・・

たとえば逆に、食道裂孔の部分がゆるすぎると、
胃の一部が、食道裂孔を越えて胸側に飛び出てしまう、
「食道裂孔ヘルニア」とか、「横隔膜ヘルニア」とか言われる状態になる場合もあります。

 

 

と、いうわけで・・・

 

もし、逆流性食道炎がつらいのであれば・・・

横隔膜を締めて、防ぎましょう!!

 

・・・・・・そう言われて、「はい、わかりました」と思える方は、少ないと思います。

 

すこし、意地悪な言い方をして申し訳なかったのですが・・・

横隔膜をうまく動かすのは、けっこう、難しいものなのです。

 

力こぶの筋肉・・つまり上腕二頭筋を、うまく動かせない!
・・ということは、なかなか無いと思うのですが・・・

横隔膜を自在に動かす・・というのは、ちょっと、わけが違うのです。

 

もしあなたが、スポーツなどで、ずっと体を動かしてきた方だったり、
もしくは身体の使い方の研究をしていたりする方であれば・・・

例えば、「横隔膜を1cm引き上げて」とか、

「横隔膜の右側をすこし上げて、左側をすこし下げて」とか、

もしくは「横隔膜の圧力を、すこし上げて」とか・・・

そうなふうに言われても、そのとおりに出来るかもしれません。

 

もしそうであれば、「横隔膜を締めてください」と言われても、
苦もなく、その通りにできるでしょう。

 

しかし・・・普通は、「横隔膜を意識してください」とか言われても、
横隔膜ってどこ??となるのではないか、と思います。

 

解剖の本でも見れば、場所的に、どこにあるかはわかりますが・・・

「自分の体の中で」どこにあるか?を、感覚的にわかる・・となるためには、
また違った、「身体の使い方の練習」みたいなものが必要だったりするのです。

 

横隔膜でいえば、「自分の横隔膜の場所を、感じ取る練習」、
「横隔膜を動かす練習」といったものですね。

 

横隔膜の場所そのものは、上に、画像でお示ししましたので・・・

横隔膜を日々、自分の身体で感じ取り、動かせるようにいろいろ試行錯誤してみる・・というのが、
有効だと思います。

 

それ以外だと例えば、横隔膜は「呼吸筋」でもありますので、
横隔膜を使った、深い呼吸を練習するといった方法も、いいかもしれません。

 

そして、横隔膜の場所を感じ取れるように、練習し、
横隔膜を、自由に操れるようになれば・・・

説明したように「横隔膜を締める」ことで、胃酸を防ぐ・・といったことも、
実際に、できるようになります。

 

参考までに、私自身は、「横隔膜を締めてください」と言われれば、
横隔膜だけに正確に、力を入れることができると思います。

 

こうやれば横隔膜は動くかな?

こういう姿勢だと?

こういう力の入れ方をすればどうだろう?などなど・・

ぜひ、いろいろ試行錯誤してみては・・と思います。

「胸腔内圧」を高める

胃酸があがってくるのを防ぐ、もうひとつの有効な方法は・・

「胸腔内圧を高める」テクニックです。

 

胸腔内圧というのは、ざっくりと言いますと、
胸の中・・つまり、心臓とか肺とかがある空間にかかっている、圧力のことです。

 

胸腔内圧エリア

Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用

 

こういう、肋骨で囲まれた空間・・つまり「胸郭」のなかに、
どのくらいの圧力がかかっているか?ということです。

おもに呼吸で、肺がふくらむ力といったものが、
この胸腔内圧にかかわってきますね。

 

そして・・・

この胸腔内圧。

食道に、おもいっきり影響を与えます

 

胸腔内を走る食道

Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用

 

この画像は見やすくするために、肺や肋骨の一部を、非表示にしていますが・・・

青く表示しているのが、食道です。

 

食道は、胸郭の中、肺や心臓に近いところを走っているんですね。

 

なので食道は、胸腔内圧が高くなればなるほど、圧迫され、締められていくのです。

物理的に、当然ですよね。

実際、食道のなかの圧力を、胸腔内圧とほぼ同じとするような考え方もあります。

 

このときの肺胞内圧は気流をゼロにしたときの気道内圧,胸腔内圧は食道内圧(Pes)で代用する

日本救急医学会ホームページ 医学用語解説集 肺胸郭コンプライアンスより引用

 

胃酸の逆流は、食道の圧力が低いと、起きやすくなります。

胃酸があがってきそうな時、そのあがっていく先の食道が、
ぜんぜん圧がかかっていない状態と、しっかりと締まっている状態と・・

どちらのほうが、胃酸があがっていきやすいか・・
言うまでもありませんよね。

 

なので、胃酸の逆流を防ぐためには、胸腔内圧を高めることが重要、なのです。

 

 

そして・・胸腔内圧は、「呼吸のしかた」を工夫すれば、
一時的に、高めることができます。

 

もしよければ、試していただきたいのですが・・・

 

思いっきり息を吸って・・・

 

もっともっと、深く吸って・・!

 

ウッ!と、止める!

 

・・・止めているあいだ、胸の中に、強い圧力を感じませんか?

確認したら、ゆっくりと、息を吐いて、ラクにしてください。

 

・・・おそらく、しっかりと息を吸って、止めることができれば、
「胸腔内圧の高まり」をからだの感覚として、感じ取ることができたはずです。

 

そして、試していただいた、その方法こそ、「胸腔内圧を」高める方法です。

意外と、簡単なのではないか・・と思います。

 

なぜ、息を吸いきって、止めると、
胸腔内圧が高まるのか?

これはシンプルに、肺にたくさん空気が入って、それがまわりに圧力をかけるから・・ですね。

 

そしてその圧力がかかる対象には、食道もありますので、
食道もしっかり締まります。

 

そしてこの方法なのですが、
当然ですが、一日中ずっと、行うような方法ではないです。

というか、ずっと息を止めているのは不可能ですので、それはそうですよね。

 

この方法は、胃酸があがってきそう・・!というタイミングで、行います。

 

胃酸が逆流してくるときは、あ、胃酸があがってきそう・・という、
「前触れ」があることが多いと思います。

もし、そういう前触れを感じたら・・・

そのときだけ、お話ししたような方法で「胸腔内圧」を高め、
あがってくる胃酸を、胃の中に封じ込めます。

 

うまく、感覚をつかむことができれば、
胃酸があがってくるのを、自分の意志で「我慢する」ようなことが、できるようになります。

 

 

 

逆流性食道炎は、胸焼けがつらいだけでなく、
繰り返すげっぷや、口臭、咳、喉のダメージ、といったものの原因になりますし・・・

場合によっては、「バレット食道」と言われる状態になり、
食道がんの原因になることもあり得ます。

 

そして要素としても、食道をちゃんと締める・・という要素以外にも、
ストレスとか、食べ物とか、いろいろな原因がありえます。

治し方も、いろいろになってくると思います。

 

そのため逆流性食道炎や、それによる胸焼けがあまりにもひどいのであれば・・・

病院に行けば、「制酸剤」という飲み薬を処方してもらえますし、
内視鏡(胃カメラ)とかの詳しい検査もしてもらえますので、病院に行くほうがいいと思います。

 

しかしそれとは別で、逆流性食道炎に対して「自分のからだでできる」予防法として、
身体をうまく使って、胃酸の逆流を抑える!というのを、いろいろ試行錯誤してみると・・・

なかなか治らない逆流性食道炎であったとしても・・・
少なくとも今よりは、症状を抑えられる可能性はあると思います。

 

今回は逆流性食道炎による胸焼けをテーマにお話ししてみました。


運営者:ドクターゆう

 

 
【年齢・性別】30歳台、男性

【資格】
◇医師(総合内科)
◇医学博士
◇適正姿勢指導士・ストレッチトレーナー(日本ストレッチトレーナー学院認定)

【リアル世界での活動】
◇現在は産業医として、企業への健康情報提供などを中心に活動をしている。
◇過去に、総合病院の内科医・研究員としての職務歴あり。

【簡単なプロフィール】
医師として医学を学んできたにも関わらず、自身の、長年続く頭痛を治すことはできず、悩む。

姿勢・ストレッチ、といった領域に興味を持ち、自分なりに実践を重ねることで、
頭痛のほぼ完全な解消が実現する。

現在は姿勢やストレッチを、頭痛に限らない「不調に悩まされない、幸せな生活の基本」と考え、日々、試行錯誤を繰り返している。

これまでに得た情報や、今後さらに学ぶことを発信していくため、このブログを始め、運営している。

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